不許可写真 1 、2(毎日ムック シリーズ20世紀の記憶)
こんばんは。白黒写真が好きなポンコツサラリーマンの土星です。
図書館で今まで知らなかった所に写真集コーナーがあり、
タイトルにひかれて、借りてみました。
こんな人におすすめ
・白黒写真や昔の写真が好きな方
・戦史に興味がある方
・メディアの検閲等に興味がある方
概要
旧日本陸軍・海軍・内務省・情報局の検閲をかいくぐり、
日本でただ一つ残された歴史史料写真集です。
第2次上海事変から日中全面戦争にかけての毎日新聞社秘蔵の掲載不許可写真を
192ページに収録されています。
日中戦争・太平洋戦争時の従軍カメラマンが撮った写真は、
撮影後、日本に届けられ、新聞社の内検後、
内務省警保局検閲課や陸海軍報道部等の検閲で許可・不許可・保留に分類され、
許可写真のみ新聞等のメディアに掲載することができたようです。
その検閲は「新聞掲載事項拒否判定要領」に従い、慎重になされました。
1つ一つの写真とそれに加えられた解説、背景(ストーリー)が、
戦後を知っている私たちにとっては、なかなか重い内容になります。
本書の感想
本書は1937~38年の日中戦争のものから、
太平洋戦争初期の戦争写真が収録されています。
インターネットやテレビがない時代、写真の影響力を認識した軍部は、
報道管制を強化し、写真を用いたプロパガンダに意を凝らしました。
そのため、
日本軍にとって、兵器の性能、将兵の階級、部隊名称などの軍事機密はもちろんのこと、
戦争の悲惨さを感じさせたり、風紀が乱れていたり、
兵が寂しがっていると思わせたりする写真も不許可になりました。
本書を見ると実際にどのように写真が選択されたのか、
どのような部分が修正されたのか、
具体的な事例が明確にわかるのが興味深いです。
なかには気分を害する様な写真もあり、
当然不許可になるだろう写真をなぜ撮影したのか。
当時の報道に携わるものの思いはどのようなものだったのか考えさせられます。
何が許可され、何が不許可だったのか?
国民が本当に知るべき情報から、遠ざけられていた実態が明らかになっています。
また、不許可にするための加わった「力」というものを想像すると恐ろしく感じます。
虚偽の代名詞となった大本営発表の一端を担ったのでしょう。
いつの時代も戦争、紛争の時は報道管制がしかれ、
戦争と報道(メディア)について、考えさせられます。
真実を伝えることを許さない力が加わった組織、報道、世相というものを
考えるには参考文献として非常に良い本ですし、
その当時の時代背景を読み取る貴重な史料だと思います。
本書は1998年に出版され、既に書店には販売されていなそうですが、
古本屋や図書館ではまだ置いてありますので、
興味がある方はぜひ読んで見て下さい。
総合評価
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